上田城の歴史

History

真田信繁(幸村)の父、真田昌幸によって築城された上田城は、第一次・第二次上田合戦で徳川軍を二度にわたり撃退した難攻不落の城として知られています。真田氏・仙石氏・松平氏と十二代にわたって守られてきた上田城の歴史を、ぜひ現地に足を運んでお楽しみください。

上田城の歴史

上田城の歴史

History of Uedajo Castle

上田城は天正11年(1583)真田昌幸によって築城され、天正13年(1585)第一次上田合戦・慶長5年(1600)第二次上田合戦の二度にわたり徳川の大軍を退けたことで知られています。二度もの実戦経験があり、上田城のような戦歴を持つ城は全国でも例がありません。関ヶ原の合戦後、上田城主は真田信之となり、以後、仙石氏(三代)、松平氏(七代)とかわり、廃城後は公園となり、現在に至っています。

真田氏

真田氏は平安時代から長野県東信地方に栄えていた滋野三家の中心的存在であった海野氏の一族で、真田信繁(幸村)の祖父・真田幸隆が武田信玄に仕えていた頃から頭角を現します。幸隆が上野(群馬県)北部を攻略、砥石城を調略によって手に入れるなど戦績を残し、幸隆の子・真田昌幸ものちに「表裏比興の者」と呼ばれるほどの知将として名をはせます。天正11年(1583)上田城を築城、第一次・第二次上田合戦では徳川軍の猛攻を二度にわたり退けます。
関ヶ原の合戦時には真田昌幸・真田信繁(幸村)は西軍に、昌幸の長男・信之が東軍につくことになり、西軍は敗戦。真田昌幸・信繁(幸村)は九度山に配流となり、信之が上田城主となります。大坂冬の陣・夏の陣では信繁(幸村)が大活躍しますが徳川家康の首まであと一歩のところで戦死。上田城主だった信之は松代へ移り、松代真田家の礎を築きました。

仙石氏

真田信之が松代に移った後、上田城主となった仙石忠政の父・仙石秀久は仙石氏中興の祖といわれ、美濃出身で織田・豊臣に仕え、讃岐国(香川県)高松城主となり、その後信州佐久郡を与えられ小諸城主となりました。忠政が小諸城主の時代に上田へ移封、三代にわたり上田城主を務めます。
寛永3年(1626)より上田城の復興工事に着手し、関ヶ原の合戦後破却された上田城は再建され、7基の櫓(やぐら)と2基の櫓門が建てられました。現存する西櫓(長野県宝)はこの時期に建てられた城郭建築として特に貴重な建物です。

松平氏

宝永3年(1706)松平氏は出石(兵庫県豊岡市)から上田へ移封となりました。この松平氏は松平宗家(のちの徳川氏)の分れで、「十四松平氏」の一つの藤井松平氏です。松平氏は明治の廃藩まで七代160年余にわたり、上田を治めました。松平氏初代上田藩主忠周と、ペリー来航で騒然としていた時期の当主であった六代忠優(忠固)は幕府の老中になり国政にあたっています。
松平氏の時代には千曲川の大洪水によって破損した崖の石垣設置や、地震による石垣・櫓の傾きを直す修復工事などが行われています。

歴代上田城主

  • 初代 真田昌幸さなだまさゆき
    天正11年(1583-1600)
  • 二代 真田信之さなだのぶゆき
    慶長5年(1600-1622)
  • 三代 仙石忠政せんごくただまさ
    元和8年(1622-1628)
  • 四代 仙石政俊せんごくまさとし
    寛永5年(1628-1669)
  • 五代 仙石政明せんごくまさあきら
    寛文9年(1669-1706)
  • 六代 松平忠周まつだいらただちか
    宝永3年(1706-1728)
  • 七代 松平忠愛まつだいらただざね
    享保13年(1728-1749)
  • 八代 松平忠順まつだいらただより
    寛延2年(1749-1783)
  • 九代 松平忠済まつだいらただまさ
    天明3年(1783-1812)
  • 十代 松平忠学まつだいらたださと
    文化9年(1812-1830)
  • 十一代 松平忠優まつだいらただます
    天保元年(1830-1859)
  • 十二代 松平忠礼まつだいらただなり
    安政6年-明治2年(1859-1869)
上田合戦

上田合戦第一次・第二次上田合戦

The Battle of Ueda

徳川・北条の和睦により、真田昌幸が徳川家康にそむくかたちで起った第一次上田合戦。関ヶ原の合戦の前哨戦となり、真田父子が分かれて戦った第二次上田合戦。
二度もの実戦経験をもち、上田城のような戦歴を持つ城は全国でも他に例がありません。
上田市立博物館蔵 真田父子上田籠城図

上田城東虎口門・北櫓 上田城東虎口門・北櫓
真田本城跡から見た風景 真田本城跡から見た風景

第一次上田合戦

The Battle of Ueda 1

武田氏滅亡後、徳川氏と北条氏の間で領地争いが行われていましたが、徳川家康と北条氏直との間で和睦が成立。その条件として当時徳川方に就いていた真田昌幸に、その所領だった上州沼田を北条に引き渡すよう徳川家康が要求しました。しかし真田昌幸は「沼田は自分の力で得た領地、北条に渡す謂(いわ)れはない。」と拒絶。これをきっかけに第一次上田合戦に突入します。
天正13年(1585)8月、徳川勢は約7,000の大軍で真田領地へ攻め込みます。守る真田勢はわずか騎馬200、雑兵1,500程度だったといいます。しかし、地の利を生かし、また上田城に「千鳥掛の柵」を設置する等、術策を駆使した真田軍の前に神川まで押しもどされた徳川軍は、おりからの神川の増水もあり、大混乱に落ち入り、大敗をきっすることになりました。
後退した徳川勢は、真田の支城である丸子城を攻めおとそうとしたがこれも失敗に終わりました。 この勝利により、真田の武名は一躍天下に鳴りひびくことになりました。

参考:信州上田軍記

上田市 上田市
信濃国分寺 信濃国分寺

第二次上田合戦

The Battle of Ueda 2

豊臣秀吉の死後、政権運営の実権を握っていった徳川家康(東軍)に対抗する石田三成をはじめとする勢力(西軍)が挙兵します。真田昌幸・信幸(信之)・信繁(幸村)らは上杉景勝征伐の軍に随行していましたが、その途中、石田三成側から西軍に味方するよう要請されます。その結果昌幸・信繁(幸村)は西軍に、信幸(信之)は東軍につくことになります。これが有名な「犬伏の別れ」です。
上田に戻った昌幸らは上田城に篭城し、関ヶ原の合戦に向かう徳川秀忠軍38,000人をわずか3,000の兵で防ぎ切ります。信濃国分寺での対談では上田城を明け渡すよう要請してきた徳川秀忠軍に対し「味方を説得するので待ってほしい」と伝え、返事を引き伸ばしたあげく、その間合戦準備を進め、城を明け渡すことはありませんでした。攻め込んできた徳川軍に対しては戦っては退き、退いては戦いを繰り返しました。結局、徳川秀忠軍は上田城を攻略することはできず、関ヶ原の合戦に間に合わないという失態をおかすことになります。

参考:信州上田軍記